マウスピース型矯正装置による治療は、どのような流れで進められ、どれくらいの期間がかかるのでしょうか。一般的な治療の流れと期間の目安について解説します。まず、治療を開始する前に「カウンセリング」が行われます。ここで、患者さんの歯並びの悩みや治療に対する希望を歯科医師に伝え、マウスピース矯正の概要やメリット・デメリット、おおよその費用や期間などについて説明を受けます。次に、より詳細な治療計画を立てるために「精密検査」が行われます。レントゲン撮影、口腔内写真撮影、顔貌写真撮影、そして歯型採り(シリコン印象材を用いる方法や、口腔内スキャナーでデジタルデータとして採得する方法など)が行われ、現在の歯並びや噛み合わせ、顎の骨の状態などを正確に把握します。この検査結果と、患者さんの希望に基づいて、歯科医師が「治療計画の立案」を行います。専用の3Dシミュレーションソフトを用いて、治療開始から完了までの歯の動きを段階的に計画し、作製するマウスピースの枚数や治療期間などが決定されます。このシミュレーション結果を患者さんと共有し、治療計画に同意が得られれば、いよいよ「マウスピースの作製」が開始されます。オーダーメイドで作製されたマウスピースが完成すると、「治療開始」となります。歯科医師からマウスピースの正しい装着方法や取り扱い方法、1日の装着時間(通常20時間以上)、交換時期(通常1~2週間ごと)などについて詳しい説明を受け、最初のマウスピースを装着します。治療期間中は、歯科医師の指示に従って定期的に通院し、歯の動き具合やマウスピースの適合状態、口腔内の衛生状態などをチェックしてもらいます。通院頻度は、ワイヤー矯正に比べて少ない傾向にあり、通常1.5ヶ月~3ヶ月に1回程度です。計画通りに歯が動き、最終的な歯並びと噛み合わせが得られたら、「治療終了」となり、マウスピースの装着は完了です。しかし、治療はこれで終わりではありません。動かした歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぐため、リテーナー(保定装置)を装着する「保定期間」が非常に重要となります。治療期間の目安は、歯並びの状態や抜歯の有無などによって大きく異なりますが、一般的には1年半から3年程度とされています。部分矯正であれば、数ヶ月から1年程度で完了することもあります。保定期間も、通常、治療期間と同程度かそれ以上必要となります。