トイレの回数が増える頻尿は、糖尿病を疑うきっかけとなる代表的な症状の一つです。しかし、この症状は単独で現れることは稀で、多くの場合、他のサインと連動して体に異常を知らせています。これらの症状の関係性を理解することは、糖尿病の早期発見において非常に重要です。まず、頻尿と切っても切れない関係にあるのが「口渇(こうかつ)」、つまり異常な喉の渇きです。前述の通り、糖尿病による頻尿は、血液中の過剰な糖を水分と共に尿として排出するために起こります。大量の水分が体から失われるため、体は脱水状態に陥り、それを補おうとして「喉が渇いた」という強い信号を発するのです。この結果、「多飲」、つまり水分をたくさん飲むようになります。しかし、飲んだ水分もまた尿として排出されてしまうため、喉の渇きと頻尿の悪循環が生まれてしまいます。次に見られるのが「体重減少」です。たくさん食べて、たくさん飲んでいるにもかかわらず、なぜか体重が減っていくという不思議な現象が起こります。これは、本来エネルギー源として細胞に取り込まれるはずのブドウ糖が、インスリンの働きが悪いためにうまく利用されず、尿と一緒に体外へ捨てられてしまうからです。体はエネルギー不足を補うために、代わりに筋肉や脂肪を分解してエネルギー源として使おうとします。その結果、意図しない体重減少が起こるのです。これらの「頻尿・口渇・多飲・体重減少」は、糖尿病の古典的な四つの主症状と呼ばれています。この他にも、エネルギー不足からくる「全身の倦怠感」や「疲れやすさ」もよく見られるサインです。また、高血糖の状態が続くと、体の免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなったり、傷が治りにくくなったりすることもあります。もし、頻尿と共にこれらの症状のいずれか、あるいは複数が当てはまる場合は、単なる体調不良と自己判断せず、速やかに医療機関を受診することを強くお勧めします。体が出している複数のサインを総合的に捉えることが、深刻な事態を未然に防ぐ鍵となるのです。
頻尿だけじゃない糖尿病の危険なサイン