歯列矯正治療によって手に入れた美しい歯並びと、それに伴って改善された可能性のあるフェイスライン。この素晴らしい状態をできるだけ長く維持するためには、治療後の過ごし方が非常に重要になります。せっかく整ったフェイスラインも、その後の生活習慣やケア次第では、少しずつ元に戻ってしまったり、別の問題が生じたりする可能性があるのです。まず、最も基本的なことは、矯正治療後の「保定」を確実に行うことです。矯正装置を外した直後の歯は、まだ周囲の骨や歯周組織が安定しておらず、元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こりやすい状態です。この後戻りを防ぐために、歯科医師の指示通りにリテーナー(保定装置)を正しく、そして長期間使用することが不可欠です。歯並びが再び乱れてしまうと、それが噛み合わせのズレを引き起こし、ひいてはフェイスラインにも影響を与える可能性があります。次に、日常生活における「癖」にも注意が必要です。例えば、頬杖をつく癖、片側だけで噛む癖、うつ伏せで寝る癖などは、顎の骨や筋肉に不均等な圧力を加え、フェイスラインの歪みやたるみの原因となることがあります。これらの癖に気づいたら、意識して改善するように努めましょう。また、舌の位置も重要です。正しい舌の位置は、上顎の口蓋部分に舌先が軽く触れている状態です。舌が低い位置にあったり、前歯を押すような癖(舌突出癖)があったりすると、歯並びだけでなく、口元の筋肉のバランスにも影響を与え、フェイスラインの崩れに繋がることがあります。正しい舌の位置を意識し、必要であれば筋機能訓練(MFT)などを行うのも効果的です。さらに、食生活においては、しっかりと「噛む」ことを意識しましょう。柔らかいものばかり食べていると、顎の筋肉が衰え、フェイスラインがぼやけてしまうことがあります。適度に噛み応えのある食材を選び、左右均等によく噛んで食べることで、顎周りの筋肉を適切に使い、引き締まった状態を維持することができます。そして、定期的な歯科医院でのメンテナンスも欠かせません。歯並びや噛み合わせの状態、リテーナーの適合具合などをチェックしてもらい、必要に応じて調整や指導を受けることで、長期的な安定を目指しましょう。これらのポイントを心がけることが、矯正治療で得た美しいフェイスラインを長く保つための秘訣と言えるでしょう。
矯正後のフェイスライン維持の秘訣