歯列矯正の転院は、ある意味で「やり直し」に近い側面があり、転院先選びの失敗は絶対に避けたいものです。納得のいく治療を受け、今度こそ満足のいく結果を得るためには、いくつかの重要なチェックポイントを押さえて転院先を選ぶ必要があります。まず、大前提として「転院患者を積極的に受け入れているクリニックか」を確認しましょう。全ての矯正歯科が転院を歓迎しているわけではありません。他院での治療を引き継ぐことは、治療計画の再構築や責任の所在など、複雑な問題を伴うため、敬遠するクリニックも存在します。ホームページなどで転院に関する記載があるか、あるいは電話で問い合わせて確認することが最初のステップです。次に、「転院症例の治療経験が豊富な歯科医師か」という点は非常に重要です。転院ケースは、一から治療を始めるよりも難しい場合が多く、現在の状況を的確に把握し、過去の治療を活かしつつ、あるいは問題点を修正しながら最適な治療計画を立案する能力が求められます。日本矯正歯科学会の認定医や専門医であることは一つの目安になりますが、それだけでなく、実際に転院患者の治療実績が豊富かどうかを確認できるとより安心です。また、「カウンセリングが丁寧で、コミュニケーションが取りやすいか」も見極めるべきポイントです。転院に至った理由や現在の不安、今後の希望などを親身に聞いてくれ、それに対して専門的な立場から分かりやすく説明してくれる医師でなければ、再び信頼関係を築くのは難しいでしょう。質問しやすい雰囲気か、こちらの疑問に真摯に答えてくれるかも重要です。「現在の治療状況を正確に把握し、適切な治療計画を立ててくれるか」も確認が必要です。持参した資料を丁寧に確認し、必要に応じて追加の検査を行い、現状の問題点や今後の治療方針、期間、費用などについて、具体的かつ納得のいく説明があるかを見極めましょう。特に、前の治療の問題点をどう改善していくのか、具体的な道筋を示してくれるかは重要です。さらに、「費用体系が明確であること」も大切です。転院の場合、どこまでの費用が含まれるのか、追加費用の可能性はあるのかなどを、契約前に書面で明確にしてもらう必要があります。最後に、複数のクリニックでカウンセリングを受け、比較検討することをお勧めします。
失敗しない転院先の選び方チェックポイント