歯列矯正中は、通常よりも歯肉炎になりやすい環境にありますが、早期発見・早期対応が非常に重要です。歯肉炎が悪化してしまう前に、歯科医師に相談すべきサインを見逃さないようにしましょう。まず、最も分かりやすいサインは「歯磨きの際の出血」です。健康な歯茎は、適切な力で歯磨きをしても簡単には出血しません。もし、歯ブラシを当てただけで血がにじんだり、うがいをした時に血が混じったりするようであれば、歯茎に炎症が起きている可能性が高いと考えられます。次に、「歯茎の色の変化」も重要なサインです。健康な歯茎は薄いピンク色をしていますが、歯肉炎になると赤みを帯びてきます。炎症が強くなると、暗赤色や紫色っぽく見えることもあります。また、「歯茎の腫れ」も注意が必要です。歯茎が丸みを帯びてブヨブヨとした感じになったり、歯と歯の間の歯肉(歯間乳頭)が腫れて盛り上がったりするのは、炎症によるものです。さらに、「口臭が気になるようになった」というのも、歯肉炎が原因である可能性があります。プラーク中の細菌が産生するガスが口臭を引き起こしたり、炎症によって膿が出ている場合も臭いの原因となります。これらの症状に加えて、「歯茎がムズムズする」「歯が浮いたような感じがする」といった違和感を覚えることもあります。もし、これらのサインのうち一つでも当てはまるものがあれば、自己判断せずに、できるだけ早く担当の歯科医師や歯科衛生士に相談してください。特に矯正治療中は、定期的な調整日以外でも、お口の中に異常を感じたら遠慮なく連絡することが大切です。歯科医師は、お口の中の状態を診察し、適切なアドバイスや処置を行ってくれます。歯肉炎は、初期の段階であれば適切なケアで改善できますが、放置すると歯周炎へと進行し、治療が複雑になったり、矯正治療そのものに影響が出たりする可能性もあります。早期発見・早期対応が、健康な歯茎を守り、スムーズな矯正治療を続けるための鍵となるのです。