歯列矯正の「やり直し」を考えた時、多くの方が気になるのが、追加でかかる費用と期間でしょう。これらは、再治療の内容や範囲、使用する装置、そして歯や歯周組織の状態によって大きく変動するため、一概に「いくら」「どれくらい」と断言することは難しいのが現状です。まず、費用についてですが、再治療は基本的に新たな治療と見なされるため、初回の治療と同様、あるいはそれに近い費用が発生する可能性が高いです。ただし、最初の治療を行ったクリニックで、保証期間内であったり、クリニック側に何らかの不備があったと認められたりした場合には、費用が減免されることもあります。再治療の範囲が部分的(例えば、後戻りした前歯だけを治すなど)であれば、全体的な再治療よりも費用は抑えられる傾向にあります。使用する装置の種類(ワイヤー矯正かマウスピース矯正か、表側か裏側かなど)によっても費用は異なります。一般的に、初回の治療費の50%~100%程度を見込んでおく必要があると言われています。次に、期間についてですが、これも再治療の規模によって大きく変わります。軽微な後戻りの修正であれば、数ヶ月から1年程度で完了するケースもあります。しかし、噛み合わせ全体を再構築したり、抜歯を伴うような大掛かりな再治療になったりすると、初回の治療期間と同程度か、それ以上かかることも珍しくありません。特に、一度歯を動かした歯槽骨は、リモデリング(骨の吸収と添加)の反応が初回と異なる場合があり、慎重な力のコントロールが求められるため、予想以上に期間を要することもあります。また、再治療を開始する前に、歯周病の治療が必要であったり、虫歯の治療が必要であったりすると、その分、全体の治療期間は長くなります。具体的な費用と期間については、再治療を検討している歯科医師に精密検査と診断をしてもらい、詳細な治療計画と見積もりを出してもらうことが不可欠です。複数のクリニックで相談し、比較検討することも重要です。
やり直し矯正費用と期間はどれくらい?