佐藤さん(仮名・28歳女性)は、長年、上の前歯の真ん中にできた隙間、いわゆる「すきっ歯」に悩んでいました。笑うと目立つその隙間がコンプレックスで、人前で大きく口を開けて笑うことにためらいを感じていたと言います。結婚を半年後に控え、ウェディングドレス姿を最高の笑顔で残したいという強い思いから、短期間での歯列矯正を決意し、当院に来院されました。初診時のカウンセリングでは、佐藤さんのご希望を詳細に伺い、口腔内写真やレントゲン撮影、歯型採得などの精密検査を行いました。その結果、佐藤さんのケースは前歯部に限定した軽度の空隙歯列であり、他の歯並びや咬み合わせには大きな問題が見られなかったため、部分矯正による短期間での治療が可能であると診断しました。治療計画としては、目立ちにくい透明なマウスピース型矯正装置(アライナー)を使用し、約2週間ごとに新しいアライナーに交換していくことで、徐々に歯を移動させて隙間を閉じていく方法を提案しました。治療期間の目安は約6ヶ月と説明し、佐藤さんもその計画に同意されました。治療開始後、佐藤さんは指示通りにアライナーを装着し、定期的な通院を欠かしませんでした。最初のうちは多少の圧迫感や話しにくさを感じたそうですが、数日で慣れたとのことです。食事の際には取り外せるため、普段通りの食生活を送ることができ、歯磨きも通常通り行えるため、口腔内を清潔に保つことができました。治療開始から3ヶ月が経過した頃には、目に見えて隙間が小さくなり、佐藤さんの表情も明るくなっていきました。そして、予定通り約6ヶ月で治療は完了。前歯の隙間はきれいに閉じ、自然で美しい歯並びになりました。治療終了後には、後戻りを防ぐための保定装置(リテーナー)の使用を開始しました。結婚式当日、佐藤さんは自信に満ちた最高の笑顔で迎えられたと、後日嬉しそうに報告してくださいました。この事例のように、症例によっては短期間の歯列矯正で効果的に悩みを解消できることがあります。重要なのは、正確な診断と適切な治療計画、そして患者様の協力です。
事例で見る短期間歯列矯正!前歯の隙間が半年で改善