歯列矯正は、美しい歯並びと健康な噛み合わせを手に入れるための有効な手段ですが、残念ながら全ての人が最後まで治療を継続できるわけではありません。様々な理由で途中で中断せざるを得ないケースも存在します。今回は、いくつかの具体的な中断事例を参考に、後悔を最小限に抑えるための選択肢について考えてみましょう。まず、Bさんのケースです。Bさんは20代前半の会社員で、費用を分割で支払いながら矯正治療を開始しました。しかし、予期せぬ会社の業績悪化により収入が大幅に減少し、毎月の治療費の支払いが困難になりました。担当医に相談したものの、費用の減額は難しく、やむなく治療を中断。Bさんは、中断時に後戻りのリスクについて説明を受けましたが、経済的な余裕がなく、そのまま放置してしまいました。数年後、歯並びは治療開始前よりも悪化し、再治療を検討していますが、初期費用からのやり直しとなるため、さらに大きな経済的負担に直面しています。このケースから学べるのは、治療開始前に無理のない支払い計画を立てることの重要性と、万が一経済状況が変化した場合に備えて、事前に歯科医院側と相談できる体制があるか確認しておくことです。次に、Cさんの事例です。Cさんは30代の主婦で、治療期間は約2年と説明されていましたが、実際には歯の動きが悪く、3年経っても終わる目処が立ちませんでした。育児と家事に追われる中で、長引く治療への精神的な負担が大きくなり、担当医に不信感を抱くようになりました。何度か相談しても「もう少しです」という返答ばかりで、具体的な説明がなかったため、Cさんは治療を中断する決断をしました。