歯列矯正治療を開始すると、多くの方が歯並びの変化だけでなく、フェイスラインの変化にも期待を寄せます。では、このフェイスラインの変化は、治療開始からどれくらいの時期に実感できるようになるのでしょうか。これには個人差が大きく、一概には言えませんが、いくつかの目安となるポイントがあります。まず、フェイスラインの変化を比較的早期に感じやすいのは、抜歯を伴う矯正治療で、かつ前歯の突出感が大きかったケースです。抜歯によって得られたスペースを利用して前歯を後退させ始めると、数ヶ月から半年程度で口元の突出感が徐々に改善され、それに伴ってフェイスラインがすっきりしてきたと感じる方がいます。特に、唇が閉じやすくなったり、横顔のEラインが整ってきたりすると、変化を実感しやすいでしょう。次に、噛み合わせの改善による変化です。例えば、エラの筋肉(咬筋)の過度な発達によってエラが張っていた場合、矯正治療によって噛み合わせのバランスが整い始めると、徐々に筋肉の緊張が緩和され、数ヶ月から1年以上かけてエラの張りが目立たなくなってくることがあります。これは、筋肉のボリュームが変化するのに時間がかかるため、比較的ゆっくりとした変化となることが多いです。また、開咬(前歯が噛み合わない状態)の治療で、徐々に前歯が噛み合うようになってくると、口を閉じる際の口周りの筋肉の使い方が変わり、フェイスラインが引き締まって見えるようになることもあります。これも、治療の進行とともに徐々に現れる変化です。一方で、歯の移動量が少ない場合や、元々口元の突出感が少ない場合、あるいは非抜歯で治療を行っている場合などは、フェイスラインの変化をあまり感じないか、あるいは治療の終盤近くになってようやくわずかな変化に気づくということもあります。また、治療初期の痛みや違和感で一時的に食事量が減り、体重が減少することで顔がすっきり見えることもありますが、これは矯正治療による直接的なフェイスラインの変化とは異なるため、区別して考える必要があります。いずれにしても、フェイスラインの変化は、歯の移動や噛み合わせの改善といった治療の進行と密接に関連しています。焦らず、歯科医師の指示に従って治療を続ける中で、徐々に現れる変化に気づいていくことになるでしょう。
矯正中のフェイスラインの変化はいつから実感?