都内のデザイン事務所で働くAさん（26歳）の悩みは、小学生の頃から続く前歯のガタガタだった。手取り20万円、一人暮らし。毎月の生活で精一杯の彼女にとって、総額100万円以上とも言われる歯列矯正は、あまりにも遠い夢の世界の話だった。しかし、仕事でプレゼンをする機会が増えるたび、口元を隠すように話す自分に嫌気がさしていた。「このまま一生、笑顔に自信が持てないまま生きていくのは嫌だ」。26歳の誕生日、彼女はついに決意した。まずAさんが始めたのは、徹底的な情報収集だった。いくつかのクリニックで無料カウンセリングを受け、自分の歯並びの場合、費用がだいたい120万円ほどかかることを知った。同時に、支払い方法には様々な選択肢があることも学んだ。Aさんの心を動かしたのは、あるクリニックで提案された「デンタルローン」だった。金利はかかるけれど、返済期間を7年（84回）に設定すれば、月々の支払いは2万円を切るという。月々2万円弱なら、今の生活レベルを大きく変えなくても、何とか捻出できるかもしれない。趣味のカフェ巡りや洋服代を少しだけ節約すれば、夢が現実になる。そう考えた瞬間、彼女の目の前がパッと明るくなった。もちろん、すぐに決断したわけではない。金利のかからない「院内分割」も魅力的だったが、その場合、月々の支払いは5万円近くなる。それは、今の彼女にとってあまりにも大きな負担だった。数日間悩み抜いた末、Aさんは決断した。「月々の心の余裕を優先しよう」。彼女はデンタルローンの申し込みを決意し、無事に審査を通過。ついに、長年の夢だった歯列矯正をスタートさせたのだ。治療が始まって一年。調整後の痛みや、歯磨きの面倒さにくじけそうになる日もある。でも、鏡を見るたびに少しずつ綺麗に整っていく自分の歯並びが、何よりのモチベーションになっている。月々のローン返済は、もはや負担ではない。それは、新しい自分に生まれ変わるための、希望への投資なのだ。分割払いという選択肢がなければ、きっと踏み出せなかったこの一歩。Aさんは今、数年後の自分が、最高の笑顔で笑っている姿を、はっきりと想像することができている。